抄録
昨年、本学会で行われたシンポジウム「重症心身障害に対する看護の成果と課題」において、看護研究の現状や課題について報告があり、看護研究の質の向上や発展のための課題が提示されました。これに刺激を受け、かねてより本学会発表や学会誌論文投稿において研究プロセスへの支援の必要性を感じていた編集委員が集まり、看護研究応援セミナーを企画しました。
看護は実践の科学といわれます。臨床現場には様々な課題、介入の工夫、実践の成果が溢れ研究の宝庫でもあります。しかし、この実践の成果や課題を可視化する(研究としてまとめる)のは一苦労です。特に、重症心身障害児(者)看護の領域では、対象の個別性が高く、再現性、一般化が難しいという特徴があります。さらに看護手順や技術などのマニュアル化できる形式知だけでなく、経験から獲得し言語化が難しいいわゆる暗黙知が豊富にあり、これを研究としてまとめ上げる作業には誰もが悩まされた経験があります。
そこで本セミナーでは、看護研究の初心者がそのプロセスで遭遇しやすい困難や陥りやすいピットホールを示しながら、その対策を共に考えたいと思います。また、院内研究の支援について実際の取り組みを紹介し、研究支援体制についても考えたいと思います。後半は、参加者とテーブルを囲んで看護研究の相談や意見交換のディスカッションを企画しています。
「大変だけどやってみたい、やって良かった」と、研究の意義や面白さを見出せるセミナーにしたいと考えています。
・日時:2016年 9月16日(金) 16時10分 ~ 17時40分
・場所:札幌市教育文化会館 3階301(C会場)
・対象:50名程度(看護研究初心者、初心者を支援する立場にある方)
・内容:1.主催者挨拶(石井)
2.研究プロセスで迷わないために
・初めて看護研究に取り組んで(篠澤由香 独立行政法人 国立病院機構 三重病院)
・意義ある看護研究にするために(田中)
3.院内研究支援の取り組み(倉田)
4.ラウンドテーブルディスカッション(30~40分)
5.まとめ(石井)