日本重症心身障害学会誌
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P-1-E01 多職種による呼吸ケアワーキンググループの立ち上げと取り組み
田邉 良内田 智子石井 光子水流 正人小川 智美北村 千里
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2016 年 41 巻 2 号 p. 242

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抄録
はじめに 重症心身障がい児(者)(以下、重症児者)は呼吸障害を認めることが多く、呼吸状態を良好に保つことは重症児者のQOLに直結する。さらに重症児者では経年的に呼吸障害が進行しやすいため、日頃からの中長期的視点に立った呼吸ケアが重要となる。昨今、医療の進歩に伴い超重症児を含む重症児者が増加しており、当センターでも現在、侵襲的、非侵襲的人工呼吸器を合わせて多い日には30人以上の呼吸器患者を診ている。短期入所も多く受け入れており、扱う医療デバイスが多く、新規医療デバイスへの精通も課題となっている。また、当センターは計4病棟で構成されており、ケアの均一化も求められている。そこで、呼吸ケアや医療管理の質の向上と効率化を目的として小児科医、各病棟看護師、外来看護師、理学療法士、臨床工学士、病棟介護福祉士の多職種で構成する呼吸ケアワーキンググループ(呼吸ケアサポートチーム)を2013年に立ち上げ、活動している。活動内容と今後の課題を合わせ報告する。 活動内容 1.定例会議を毎月開催し、利用者の呼吸障害を報告(肺炎による点滴加療例や、呼吸障害進行例のまとめ)。 2.症例検討会、ベッドサイド検討会の実施(効果的で安全な治療、姿勢ケア、排痰法を多職種で検討)。 3.呼吸に関わる学習会の企画(病態や手技、医療デバイスなど)。その他に、年一回のケース会議前のEtCO2測定ルーチン化、人工呼吸器チェック表の簡略化と統一化、理学療法士による呼吸リハとしてのバギング指導スキルの習得、呼吸状態チェックシートの作成、病棟での看護師・介護福祉士による安全で効率的な腹臥位保持スケジュールの作成を行った。 今後の課題 多職種による活動のメリットを生かして、症例検討等を通じて中長期的視点に基づいた呼吸障害へのより効果的なアプローチを行っていきたい。さらに外来や短期入所チームとも連携を取り、短期入所者の呼吸障害へのアプローチも検討していきたい。
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© 2016 日本重症心身障害学会
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