抄録
当クリニックでは、平成25年より胃瘻や経鼻胃管などの経管栄養利用者の経口摂取支援として、地域の多職種の集まりである“チームいろうレストラン”の協力のもと多職種による「いろうレストラン」を開催してきた。昨年より小児への取り組みを開始し、その意義と今後の展望について考察したので報告する。 いろうレストラン・キッズは、1回目はフレンチスタイル、2回目はピクニックをテーマに開催した。1回目、2回目を合わせた参加希望者は、6名(うち1名は2回共参加)の小児とその家族である。対象児の概要は、脳性麻痺2名、CHARGE症候群1名、先天性奇形症候群1名、胎児性アルコール障害による発達遅滞1名で、年齢は2歳から7歳であった。経管栄養の種類は、胃瘻が3名、経鼻胃管が2名であり、全員が一部経口摂取を行っていた。経管栄養の原因は、4名は嚥下障害、1名は拒食であった。家族が参加を希望した後、当クリニックにて対象児のVF検査を施行し、日常的に一部経口摂取している食物の食形態や摂取方法で誤嚥のリスクがないことを確認した。またその際、安全に摂取できる食形態について、日本摂食嚥下リハビリテーション学会の嚥下調整食学会分類2013の基準に合わせて確認し、メニューに反映させた。食形態は、嚥下調整食1jが1名、2-1が3名、3が1名であった。リスク管理として、レストラン開催時には対象小児とその家族のテーブルに歯科医師、歯科衛生士が同席し、また医療班として医師、看護師が待機した。すべての児において摂取量は少量にとどまったが、開催後に家族へアンケートを行ったところ、「子どもの好みに新しい発見があった。」「また参加したい。」との声が聞かれた。 小児においても経管栄養が長期に及ぶ場合は少なくない。本取り組みが経口摂取困難な小児とその家族の食べる楽しみ、喜びをつないでいくことの一助となるよう、今後も多職種と協働して展開していきたいと考える。