抄録
はじめに
重症心身障害者のリハビリテーション医療(リハ)効果判定は、FIM(機能的自立度評価法)などでは困難である。われわれは、成人重度脳性麻痺(重度CP)に対するリハビリテーション医療(リハ)の有用性を評価しうるICF評価項目(コアセット)を作成したので報告する。
対象と方法
別府発達医療センター医療型児童入所施設に長期入所する(した)重度CPであり、粗大運動レベルGMFCS5かつ大島分類1、2相当の28名(男性21名、女性7名 平均年齢 44.9歳)を対象とした。過去のリハ実施計画書、個別支援会議記録などの内容に該当するICF項目を抽出、さらに複数の評価者がリハ効果判定に有用と80%以上みなした項目を選定し、その一致率を求めた。
結果
心身機能では視覚、前庭機能、呼吸筋、摂食嚥下など18項目、身体構造では股関節など5項目、活動と参加では注意して視る、聞く、意思決定など16項目、環境因子では福祉用具など4項目、合計43項目をコアセットとした。
考察
脳性麻痺リハの有用性については小児期では実証されている。しかし、重度CPではリハ効果の評価が困難とされている一方、出生後より活動と参加の経験が乏しいことなどから、成人期以後も「未成熟」な生活機能を多く有していると考える。そのため、重度CPの生活機能改善のためには、ICFの中から障害特性にあった項目を用い、リハ計画を策定する必要がある。さらに、ADL上必要かつ効果的と考えられるリハを、長期間にわたり継続施行すべきであると考える。今後、このコアセットによる長期入所重症心身障害者リハ有用性を検証することを目的とする。