日本重症心身障害学会誌
Online ISSN : 2433-7307
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一般演題
O-1-H09 重症心身障害児(者)施設で働く看護師が仕事を続ける理由
原 尚美
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2018 年 43 巻 2 号 p. 273

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抄録
はじめに 日本看護協会によると、2016年度の全国看護師離職率は10.9%であるのに対し、本施設は1.0%(2016年)であり、何故離職率が低いのかと考えた。本研究の目的は、重症心身障害児(者)施設で働く看護師が、長く働き続けている理由を明らかにすることである。 方法 半構成的面接法による質的記述的方法によった。研究参加者は、重症心身障害児(者)施設以外の病院での勤務経験があり、重症心身障害児(者)施設で10年以上所属していることを条件として参加者を募った。面接後、録音した内容から逐語録を作成し、研究の目的に関連する内容について抽出し、コード化した。次に意味内容の類似したコードごとに分類してサブカテゴリーを生成し、同様にサブカテゴリーからカテゴリーを生成した。なお、本研究は所属施設の倫理審査委員会の承認を得て実施した。 結果 研究参加者は、5名で40〜50歳代であった。分析の結果、6カテゴリーと21のサブカテゴリーが抽出された。カテゴリーは、1)重症心身障害看護の特徴がやりがいをもたらす、2)自分への評価が高く、自信になる、3)医師との平等な関わりが、やる気をおこす、4)多職種で作り上げる看護が面白い、5)利用者の笑顔や反応が嬉しい、6)職場環境が良い、の6カテゴリーが抽出された。また、1)重症心身障害看護の特徴がやりがいをもたらすは、【人生、生活のすべてが任されている】【じっくりと関われる】などの7サブカテゴリーから構成されていた。 考察 以上より、本施設で働く看護師は、重症心身障害看護の特徴がやりがいをもたらしているということをベースとして、その特徴があるために自分への評価が高く・自信を持っていることや、医師との専門性の違いを明確にして働けることによる平等な関係が成り立つと考える。さらに、多職種と協働の中で看護師が主体となり、自分達で看護を作り上げていく独自性のある看護に魅力を感じていることが明らかになった。
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© 2018 日本重症心身障害学会
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