日本重症心身障害学会誌
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O-2-S04 障害福祉サービス事業所の介護職員等を対象とした医療的ケア児(者)に関する教育状況と学習ニーズの調査
沢口 夏季村田 博昭藤澤 隆夫
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2018 年 43 巻 2 号 p. 291

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抄録

はじめに 近年、医療技術の進歩等を背景として、医療的ケアが必要な障害児(医療的ケア児)が増加している。2017年の三重県の調査によると、医療的ケア児(者)の受入れが可能な障害福祉サービス事業所等は、3割程度にとどまっている。医療的ケア児(者)の大部分を占める重症心身障害児(者)の看護・介護を行うには、小児、成人、高齢者とは異なり、疾患の理解だけでなく二次障害も理解した上で、援助を行う必要がある。本研究では、障害福祉サービス事業所等の介護職員等を対象として、医療的ケア児(者)に関する教育状況の現状と学習ニーズを明らかにするため調査を行った。 方法 三重県中勢地区の障害福祉サービス事業所242施設に勤務する介護職員およびホームヘルパー(医療的ケア児(者)を受入れていない事業所も含む)を対象とし、自記式質問紙を各施設2部送付し回答を求めた。本研究は当施設の倫理審査委員会の承認を得ている(承認番号29−40)。 結果 196名(40.5%)より回答があり、介護福祉士が61%、ホームヘルパーが21%、その他介護支援員等18%であった。喀痰吸引等研修受講歴は、「あり」17%と少なく、継続的な研修の受講は、ほとんどなかった。医療的ケア児(者)の介護経験者は57%であったが、介護の実施に対して、「不安である」が73%であった。介護における不安や悩みとしては、疾患や障害の特徴やコミュニケーション、姿勢の調整等であった。今後の要望として、実技や体験の多い研修や、喀痰吸引等の研修を受講しやすい体制作り、看護職員との連携等があった。 今後の課題 喀痰吸引等は、研修修了後のフォロー体制が十分でないこと、受講しやすい体制作りが課題である。医療的ケア児(者)を介護するには、医療的ケアを理解する前に、障害児(者)の障害の特徴や日常生活援助のポイントを学べる機会が必要である。

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© 2018 日本重症心身障害学会
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