抄録
目的
冷えは万病の元とも言われ、重症心身障害者にかぎらず、健常者の間でもしばしば問題となっている。冷えの改善方法は多岐に渡る。本研究では準備や人手を要する手浴・足浴などより簡便に行えるホット&クールパッドを用いて、【両手末梢】【両足末梢】【後頸部】【下腹部】のうち、どの部位を温めれば、冷えた手足末梢を温めることができるのかを検討した。
方法
対象者:成人通所者42名のうち、手足末梢の温度が低い方から13名のデータを収集し、そのうち12名(22〜45歳)を調査対象とした。
研究期間:2017年10月2日〜11月27日
研究場所:通所デイルームに設定し、空調からの送風が影響を及ぼさない処置室前の床に敷いたマット上で測定した。通所時、呼吸器などを使用し常時ベッドを利用する方は個人の定位置のベッド上で測定をした。
方法:調査手順は登所後、測定場所に降り、安定姿勢を取った15分後に1回目の測定を実施。4部位のうち1か所をホット&クールパッドで15分温めた直後に2回目の測定を実施。ホット&クールパッドを外し、さらに15分後に3回目の測定を実施した。
成績
両手末梢温めたときにのみ、両手末梢の表面皮膚温への影響は主効果が有意であった。
両足末梢温めたときにのみ、両足末梢の表面皮膚温への影響は主効果が有意であった。
結論
冷えた手足末梢を温めるには、手を温めたいのなら手を、足を温めたいのなら足をと、冷たい末梢部位を直接温める方法が望ましい。重症心身障害者の身体状態が異なるため、冷えの改善方法は、健常者の冷えの改善方法とは一致しなかった。