日本重症心身障害学会誌
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P-1-C01 気管支拡張症から多量喀血を認めた重症心身障害者の2例
金井 正朗滝澤 昇
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2018 年 43 巻 2 号 p. 341

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抄録
はじめに 5年以上持続する気管支拡張症から多量喀血を認めた重症心身障害者の2例を経験したので報告する。 症例1 アテトーゼ型脳性麻痺の61歳男性、大島分類16、気管切開なし。56歳時には、胸部CTにて左肺上葉に高度の気管支拡張症を認めた。2015年2月、前日より鼻腔吸引時に血液が混入していたが、夕方になり鼻腔・口腔からの血液流出が多量となり、A大学附属病院に搬送しICU入院となった。耳鼻科的診察にて出血点を認めず、左肺上葉の気管支拡張症からの喀血が疑われた。入院数時間後に多量喀血による呼吸不全が出現し、気管内挿管の上で動脈塞栓術を施行された。3日後と6日後にも動脈塞栓術を追加され、止血した。全身造影CTにて動脈奇形なく、出血傾向を認めなかった。同年11月に敗血症を発症し死亡するまで、再喀血することはなかった。 症例2 痙直型脳性麻痺の41歳女性、大島分類1、気管切開なし。肺炎を繰り返し、31歳時には、胸部CTにて右肺上葉に気管支拡張症を認めた。2017年4月、明け方より口腔からの血液流出が出現した。上部消化管内視鏡にて鼻腔・上部消化管に出血源を確認できなかったため、気管支鏡を施行したところ、突然、気管内に多量の新鮮血の吹き出しがあり、呼吸不全に至った。気管内挿管を施行した上でA大学附属病院に搬送し、ICU入院となった。右肺上葉の気管支拡張症からの出血が疑われ、動脈塞栓術にて止血した。全身造影CTにて動脈奇形なく、出血傾向を認めなかった。同年9月までに3回の多量喀血の再発があり、その都度、A大学附属病院転院にて動脈塞栓術を施行された。以降は、多量喀血を認めていない。 考察 重症心身障害者においては、誤嚥・胃食道逆流・排痰困難等により同じ区域に炎症を繰り返すことで、気管支拡張症を生じやすい。気管支拡張症を認めた場合は、多量喀血に注意が必要である。
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© 2018 日本重症心身障害学会
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