日本重症心身障害学会誌
Online ISSN : 2433-7307
Print ISSN : 1343-1439
一般演題
P-1-C19 膀胱皮膚瘻により尿路感染症が改善した症例の経過と管理方法について
小沢 浩粟田 美穂子阿部 恵大谷 聖信小出 彩香
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2018 年 43 巻 2 号 p. 350

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抄録
はじめに 膀胱皮膚瘻は、直接膀胱から体外に尿が出るように尿の出口を下腹部に作製する手術である。チューブでの長期管理では、尿路感染症(UTI)を起こしたり、チューブ閉塞、チューブの先端に採尿バッグをつけて管理を行うなどの問題が生じてくる。今回、繰り返すUTIにチューブを使わないで膀胱と下腹部の皮膚を直接つなぐ「膀胱皮膚瘻」手術を行い、UTIが改善した症例を経験したので報告する。 症例 症例:25歳男性。13トリソミー。体重17kg。 経過 35週、1980gで出生。人工呼吸器管理、気管切開を行った。10歳から、年2〜3回UTIを繰り返し、ST合剤予防内服を行ったが、改善しなかった。2017年UTIで全身状態悪化し、2回入院したため、膀胱皮膚瘻形成術施行。その後、UTIは発症しなくなり、予防内服も中止した。術後は、上気道感染症による入院が1回のみであり、通所日数が増え、体重増加し、反応や動作がよくなり、生活の質が向上した。 管理方法 1.膀胱皮膚瘻の指ブジー:穴が閉塞しないために行う。1日1回親指第一関節まで入れる。 2.皮膚:特に処置はしていない。 3.入浴:瘻孔部に保護フィルムを貼る。 4.排泄:おむつに直接排泄。瘻孔部に尿取りパッドを当てる。 まとめ 膀胱皮膚瘻は、UTIを改善し、生活の質を向上させた。膀胱皮膚瘻は今後増えていくことであろう。管理方法などの情報を共有することが、安全安心して行うために大切である。謝辞:ご指導を賜りました都立小児総合医療センター泌尿器科佐藤裕之先生に深謝いたします。
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© 2018 日本重症心身障害学会
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