日本重症心身障害学会誌
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一般演題
P-2-B10 蒸しタオルを使用した全身清拭の清浄度
−ATP拭き取り検査による比較−
山中 彌生馬場 久恵東野 知子
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2018 年 43 巻 2 号 p. 375

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抄録

はじめに 重症心身障害児(者)の清潔保持は、個々の皮膚状態も大きく異なり個別性の高いケアが必要となる。橋本らの先行研究では、清拭前後の清浄度をATP拭き取り法で測定し有意な減少が認められた1)。当センターでは蒸しタオルを使用し、同一部位への清拭頻度が少ないため清浄度の効果が得られない可能性があると考えた。全身清拭の清浄度をATP拭き取り検査で明らかにしたので報告する。 方法 皮膚損傷を認めない30〜40代の男女2名。使用器具はルミテスターPD−20、ルシパックpen。清拭前、清拭後、清拭6時間後を1対象者に対し4回。部位は後頸部、胸骨部、肩甲骨間、右大腿後部の1部位に対して1往復実施した。 倫理的配慮 倫理委員会の承認を得た後、研究対象者および御家族に研究目的、研究結果の公表について説明し同意を得た。 結果 3群間の比較検定では有意差は認めなかった。測定部位各々の清拭前を基準(1.00)とした変化率では、清拭後の値が基準値を下回ったのは胸骨部、後頸部、右大腿後部である。清拭6時間後の値では胸骨部、肩甲骨間、右大腿後部である。 考察 われわれの清拭方法では変化が認めない結果となった。橋本らの研究結果との相違は二つ要因が考えられた。一つ目は、清拭方法が十分でないことが原因である。二つ目は、本研究での対象者は発汗や皮脂分泌が少なく、清浄度に変化を起こしにくいと考える。部位別の変化率より、清浄度をあげる目的では、皮膚の汚れやすい部位を重点的に清拭することでより高い効果が得られると考える。 結論 清拭前後で清浄度の変化は認められず、皮膚状態に応じた方法を検討する必要がある。特定部位を重点的に清拭することでより高い効果が得られる。

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© 2018 日本重症心身障害学会
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