日本重症心身障害学会誌
Online ISSN : 2433-7307
Print ISSN : 1343-1439
症例報告
重症心身障害者における骨密度測定の有用性
−40歳以上女性の骨密度の検討から−
吉田 彩子影山 さち子平尾 準一吉原 重美
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2018 年 43 巻 3 号 p. 519-524

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抄録
当院に入院中の重症心身障害者で40歳以上の女性 15例の骨密度を測定し、骨粗鬆症と骨折に関連する要因を検討した。さらに、筋緊張を筋緊張評価スケールmodified Ashworth scale (MAS)で評価した。結果 ① 全体の骨密度young adult mean (YAM)の平均値は62.2 %、骨粗鬆症は11例(73.3%)、骨折者は6例(40.0 %)。閉経群は高齢で、骨粗鬆症は7例中6例(85.7%)、骨折者は4例(57.1%)。 ② 骨粗鬆症群と非骨粗鬆症群の比較では、平均年齢に有意差はなかった。骨粗鬆症群では抗けいれん薬の使用剤数が有意に多かった。③ 骨粗鬆症群の骨折例での抗けいれん薬使用剤数が有意に多かった。④phenytoin (PHT)使用群では有意に骨密度の減少と骨折率の増加が認められた。⑤ 大島分類1かつMAS 0の症例で骨粗鬆症と骨折の頻度は有意に高かった。⑥ body mass index (BMI) 15kg/m2未満および20kg/m2以上の群に骨折を認める例が多かった。これらから、骨粗鬆症と骨折の予防対策として、抗けいれん薬の整理、適切な体重管理、筋肉の緊張による骨への荷重が課題と考えられた。
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© 2018 日本重症心身障害学会
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