抄録
はじめに
看護師が行う重症心身障害児(者)(以下、重症児)の呼吸フィジカルアセスメントの困難感と期待する教育方法のアンケート調査1)から、院内教育を新たに実施したので報告する。
方法
アンケート調査1)の結果をもとに、重症心身障害看護師・理学療法士・小児看護専門看護師、3学会合同呼吸療法認定士が中心となり、教育方法を検討した。そして、利用者をモデルとした実技演習を取り入れた少人数制の研修を実施した。研修後に参加者にアンケート調査を実施し分析を行った。
倫理的配慮
研究者が所属する施設の倫理審査委員会の承認を得た。モデルとなる利用者の家族に趣旨を説明し、同意を得た。研修中は利用者のサインを客観的に読み取るための職員を配置し、利用者に苦痛サインが出現した際にはモデルを中止する措置をとった。
結果
重症児看護経験3年未満が困難と認識していた項目である「胸郭の変形の有無と程度についてのアセスメント」に対しては「とても理解できた」23%、「まあまあ理解できた」64%、「やや難しかった」13%であった。自由記述では、「重症児に実際に触れて観ることで理解が深まった」という内容が多かった。3年以上は、呼吸障害のアセスメントや非侵襲的陽圧換気療法に不安を抱えており、さらに3年未満より「やや難しい」「どちらともいえない」20%多かった。
考察
利用者をモデルにした少人数制の実技演習を行ったことで、3年未満の看護師の理解度は高まった。3年以上は後輩に指導を行う際により高度なアセスメントを求められるため、「難しい」と捉えたと考える。個別性が高い重症児の呼吸フィジカルアセスメント教育は、基礎から応用までを経験年数に関わらず継続して実施する必要があると考える。
申告すべきCOIはない。