日本重症心身障害学会誌
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一般演題
P-4-01 重度知的障害者入所病棟での転倒、骨折予防の取り組みについて
上原 隆浩
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2019 年 44 巻 2 号 p. 432

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抄録
はじめに 当センターの重度知的障害者が入所している病棟では転倒・骨折予防委員会を設け、月1回会議を実施している。2016年、2017年の日本重症心身障害学会学術集会にて転倒・骨折予防委員会の取り組みについて報告してきたが、今回、転倒、骨折を減らすためにこれまでと違う視点が見えてきたので報告する。 方法 月1回、転倒・骨折防止委員(看護師3名・看護補助者1名・理学療法士2名)で会議を実施。 会議開催前、1か月に起こった転倒、骨折、原因不明の皮下出血者についてその発見日時の確認、考えられる原因の検討、対応策の検討を行った。 結果 2018年4月から2019年3月の間で転倒件数47件、骨折件数3件、原因不明の皮下出血件数28件。転倒の発見場所はデイルーム25件、トイレ6件、食堂5件、浴室3件、居室3件、病棟内廊下2件、病棟のテラス1件、病棟外廊下1件、施設外1件、骨折は全例とも原因不明、原因不明の皮下出血は頭部・顔面8件、胸部2件、殿部1件、上肢6件、下肢11件であった。対応については介助方法等関わり方の変更や利用者の状態、行動および危険箇所、スタッフが業務を行う上での基本的な注意事項等についてスタッフへの周知をすることが多く挙がった。その他、環境調整で対応することもあった。リハビリでの機能向上を対応に挙げたケースは3件、利用者の日常スケジュール調整を行ったケースは2件であった。 まとめ この1年間の対応として介助方法の変更や環境調整をすることが多かったがさらに広い視点で捉えた場合、スタッフが業務を行うに当たり環境整理ができていなかったことや利用者が過ごす環境に転倒や骨折する可能性がある危険な個所があることが分かってきた。転倒、骨折を減らすにはスタッフ自身の行動、利用者が過ごしている場所に危険性があることをスタッフ全員で共有することも重要であると考える。 申告すべきCOIはない。
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© 2019 日本重症心身障害学会
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