抄録
はじめに
当センターに入所中の利用者の多くは言語でのコミュニケーションが難しい方が多い。だからこそ、私たちは日常のケアを行う中で、より声かけを行うことが重要なのではないかと考えた。先行研究から声かけ・タッチングをしないことは利用者の負担にもなりかねないと考えた。言葉かけと共にタッチングを行うことで利用者への安心感も生まれると考えた。
しかし、大切と分かっていても、介助者に余裕がない時など利用者に声かけ・タッチングをすることなくケアにあたってしまう現状もある。ロールプレイを通して、利用者の立場や気持ちに少しでも近づくことができれば介助者の声かけ・タッチングに対する意識、行動の変化が得られ、より良いケアに繋げていけるのではないかと考えた。
対象と方法
対象:当センター3階南病棟スタッフ30名
方法:
①ロールプレイ実施前にアンケート調査を実施した。
②利用者の疑似体験としてアイマスクと耳栓を使用し利用者役と介護者役の両方のロールプレイを実施した。
③ロールプレイ後グループディスカッションを実施した。
④ロールプレイ後1〜2週間後に再度アンケート調査を実施した。
結果
利用者を疑似体験するロールプレイは、ケア時の声かけ、タッチングの意識・行動に効果があった。また、本研究においてタッチングの重要性を見いだすことができた。
考察
日常生活の中でタッチングをすることを取り入れる意識がロールプレイ体験を通して現れた。ロールプレイが他の項目に対しても意識付けとなり、行動も変化した。有意な変化が見られなかった項目はもともと声かけを意識して行っていたと考える。利用者の立場を体験できるような設定をしたことで声かけとタッチングの重要性を見いだすことができた。
申告すべきCOIはない。