日本重症心身障害学会誌
Online ISSN : 2433-7307
Print ISSN : 1343-1439
一般演題
P-14-07 重症心身障害児(者)における短期入所のニーズ調査
岩崎 裕治椎木 俊秀曽根 翠米山 均堀江 久子益山 龍雄後藤 一也宮野前 健田村 正徳
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2019 年 44 巻 2 号 p. 477

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抄録
はじめに  近年、濃厚な医療的ケアが必要となる重症心身障害児(者)が在宅で増加しており、療育施設においても在宅支援への関与が今後さらに必要とされている。 目的  今回、短期入所に関する重症心身障害児(者)家族への調査を行い、どのようなニーズがあるのかを明らかにして対応を検討する。 方法  東京都内の児童発達支援事業、特別支援学校、生活介護利用の768家族を対象に短期入所利用実態やニーズに関するアンケート調査を実施した。 結果  介護者の健康状態は年齢が高い群、人工呼吸管理を要するなどの医療度の高い群で悪かった。最も利用されている福祉サービスは短期入所で、一番必要とされているサービスも短期入所であった。生活介護利用者・医療的ケア有群・介護者健康問題有群で短期入所利用が多かった。利用は年に1-3回が多く、更なる回数や日数の増加を希望していた。今後希望することは、実施施設の増加、近隣施設での受け入れ、また医療的ケア有群や介護者の健康問題有群では医療的対応可能な施設の希望がやや多かった。利用方法では、特に医療的ケア有群と、介護者の健康問題有群で急な受け入れを希望されていた。短期入所の内容では、リハビリ・生活面の充実を希望していた。 考察  医療度の高いケースでは介護者の健康状態も悪かった。利用児(者)の医療度が高く、また家族の健康不安がある群では、急な短期入所の受け入れが最も求められており、施設としても柔軟に対応できる状況が望まれる。また、東京都では更なる短期入所利用や近隣施設での利用希望が多く実施施設が足りない状況が伺える。また短期入所の内容ではリハビリや生活面の充実を希望されているが、医療度が高くなると医療的ケアを確実に実施することが優先され、それ以外の対応が難しい面もある。様々な状況に対応できる短期入所の体制づくりが望まれる。 謝辞 調査に御協力いただいた事業所・特別支援学校関係者に深謝申し上げます。 申告すべきCOIはない。
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© 2019 日本重症心身障害学会
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