日本重症心身障害学会誌
Online ISSN : 2433-7307
Print ISSN : 1343-1439
論策
超重症児(者)のケアに対する中途採用1年目の看護師の困難
−対象理解の難しさに焦点を当てて−
八柳 千佳子福良 薫
著者情報
ジャーナル フリー

2020 年 45 巻 1 号 p. 191-197

詳細
抄録

重症心身障害児(者)(以下、重症児(者))の中でも超重症児(者)は、その特殊性からニーズの把握、病気や障害の理解がさらに難しい。他の施設での経験がある中途採用看護師の確保や定着促進が課題となる中、本研究は、反応の乏しい超重症児(者)のケアに対する中途採用1年目の看護師がどのような困難をかかえて超重症児のケアにあたっているのかを明らかにすることを目的とした。対象となった4名の看護師の語りから【超重症児(者)の反応の汲み取りにくさ】【超重症児(者)のアセスメントへの困惑】【自身の行動が超重症児(者)に影響を与えることを実感】【看護師としての役割への戸惑い】【看護経験が活かせないことへの落胆】【学習上の困難】【現在のケアへの疑問】という7つの困難が示された。超重症児(者)の反応が捉えられず、これまでの経験が活かされない思いや看護師としての専門性を自問する姿が明らかになり、看護師らへの支援の必要性が示唆された。

著者関連情報
© 2020 日本重症心身障害学会
前の記事 次の記事
feedback
Top