2020 年 45 巻 3 号 p. 319-326
重症心身障害児(者)(以下、重症児(者))のQOLの向上と、介護者の負担の軽減を目的として、重症児(者)の被服設計に必要な身体寸法の計測、被服製作に取り組んだ。東大寺福祉療育病院に入所・通所する25名を計測し、新規に考案した「計測値記録用紙」に、重症児(者)の被服設計に必要な情報・参考寸法をまとめ、計測結果を既存のデータと比較・分析した。被験者の8割以上が低身長で、痩せた細い体格であることを確認し、参考文献に記された身体各部の寸法に対して、特に下肢が極端に細く、体幹部と四肢の太さが不均衡な状態であることがわかった。重症児(者)の被服設計において、特に細い部位は麻痺が強く着脱が困難であることに留意して、伸縮性の高い素材の選択や、更衣動作に適した開口部を設計する必要性が示唆された。