抄録
新型コロナウイルス感染症(以下、COVID-19)が国内で感染拡大する中、重症心身障害児(者)(以下、重症児(者))が感染罹患した場合の対応が求められる。西別府病院では重症心身障害病棟で入院患者の感染が発生した場合と、行政からの要請による介護者がCOVID-19に感染し濃厚接触者となった在宅の重症児(者)の受け入れについて対策を進めてきた。受け入れ病床の選定や、患者移動などの受け入れを想定したシミュレーションを実施した後、医療圏内の感染拡大期に両親がCOVID-19を発症し、濃厚接触者となった重症児1例の受け入れを経験した。実際の受け入れを通して、シミュレーションの成果とともに様々な課題が判明した。COVID-19発症の可能性が高い中、意思疎通を含めた監視の困難さや生活介助など、COVID-19 感染者と同等の処置や感染対策が求められ、夜勤体制など看護の負担も大きかった。重症児(者)のCOVID-19 管理では様々な課題も想定される中、報告の集積が望まれる。