日本重症心身障害学会誌
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O-6-01 重症心身障害者へ日光浴の積極的導入における骨密度の変化
田沼 茉梨乃恩田 真弓
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2021 年 46 巻 2 号 p. 249

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抄録
重症心身障害者(以下、重症者)は様々な理由から低骨密度であることが多い。A施設B病棟の施設入所者34名中19名が骨粗鬆症疑いで、平均年齢は49歳(研究開始時)と高齢化が進んでおり、今後さらに骨密度の低下による骨折リスクの上昇が予測された。日光浴はビタミンD生成によりカルシウムの吸収を助け骨密度の上昇の効果がある。B病棟入所者の日光浴時間は平均月1.9時間と外に出る機会が少ない状況があった。日光浴の強化により骨密度が変化するかを検討した。 方法 対象:A病棟入所者33名:男性13名、女性14名、年齢:26〜70歳(平均51歳)期間:2019年12月〜散歩の強化や日光浴を導入。 評価:研究開始前2019年6月、研究開始後2020年8月、2021年6月の定期健診での骨密度測定(DIP法)で評価を行った。A施設の倫理委員会の承諾を得て、本研究を行った。 成績 研究開始前2019年1月から11月までの日光浴は平均1回/30日の実施で、骨密度測定では骨粗鬆症疑い19名、骨量減少9名、正常4名、測定不可1名であった。研究開始後2019年12月から2020年7月までの日光浴は平均1回/4日の実施で、骨密度測定では骨粗鬆症疑い18名、骨量減少3名、正常11名、測定不可1名であった。前年比でYAMは34名中21名上昇、平均2.87%(上昇者平均7.86%)上昇した。男女別では、男性3.64%、女性2.23%上昇した。2020年8月から2021年5月の日光浴は平均1回/5日の実施で、骨密度測定では骨粗鬆症疑い16名、骨量減少7名、正常10名であった。前年比YAMは34名中13名上昇、平均0.41%(上昇者平均6.85%)上昇した。男女別では男性1.51%、女性0.45%上昇した。2年間でYAMの増加がみられなかったのは50代女性3名(減少平均9.013%)であった。 結論 本研究において、日光浴は重症者の骨密度を増加させる効果が認められた。また、男性の骨密度上昇には反応が良く、女性の骨密度上昇には反応は弱いが上昇する。継続的な日光浴が必要と考えられる。
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© 2021 日本重症心身障害学会
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