抄録
目的
西別府病院は重症心身障害児(者)、筋ジストロフィーなどの最終拠点病院となっており、多数の患者が入院や通院を行っている。この長期に渡る治療、入院、通院の繰り返し中の骨折は患者のQOLが著しく低下するため、骨折リスクを早期に予見できれば看護や介助の一助と成りえる。そこで、骨の状態を把握できる骨密度検査を安定して行うためにできることを、検討する。
方法
QC手法を参考に、「管理特性、期限、目標値」について各々、「骨密度測定について、2020年度中に、安定した検査施行のためにできることを検討する」として活動した。安定した検査について要因解析を行い、特に人的要因について解決策を模索した。これにより、「骨密度検査について理解度を高める」ことが有効であると判断したので、1.骨の構造2.骨粗鬆症3.測定法の種類4.DXA法5.被ばく6.測定結果、の6要項に分類して、放射線技師の学習を行った。
結果
学習を行ったことで、骨密度の測定結果と骨粗鬆症ガイドラインを関連づけて、骨折リスクを捉えることができるようになった。また、他の放射線検査に比べて被ばくが少ないことが確認でき、検査を勧める契機ができた。
考察
骨密度検査を安定して行うために何ができるかについて、QC手法を用いて検討することは有効であった。放射線技師は装置の撮影原理と特性について知識を深めたことで、技術研鑽ができた。特に、重症心身障害患児(者)の測定では、患者の体位を把握し装置の特性に合わせることで、より安定した結果を得ることが可能になったと考えられる。