抄録
はじめに
誤嚥性肺炎の予防として喉頭気管分離術が有効とされるが、術後も肺炎管理に難渋した重症心身障害児を2例経験したので報告する。
症例1
4歳女児、原因不明の先天性関節拘縮、四肢麻痺、大島分類1の重症心身障害児。喉頭軟化症に対して単純気管切開術を受け、生後9か月で人工呼吸器療法となった。誤嚥性肺炎を繰り返し、3歳で肺炎治療困難となったため喉頭気管分離術を施行した。しかし、術後も肺炎を繰り返した。胸部CT画像は気管支透亮像を伴う浸潤影、スリガラス状陰影、小葉中心性粒状影を呈し、KL-6は1480U/mlと上昇を認めた。二次性間質性肺炎を疑い、ステロイド内服を開始したところ病状の安定が得られた。
症例2
10歳男児、新生児低酸素性虚血性脳症、痙性四肢麻痺、大島分類1の重症心身障害児。生後より人工呼吸器療法となり、生後4か月で単純気管切開術を受けた。3歳より誤嚥性肺炎を繰り返し、7歳で肺炎治療困難となったため喉頭気管分離術を施行した。術後も肺炎を繰り返し、胸部CT画像は気管支透亮像を伴う浸潤影、スリガラス状陰影を認め、KL-6 2120U/mlと上昇を認めた。二次性間質性肺炎を疑いステロイド内服を開始し、病状安定が得られた。
考察
細菌性肺炎後に二次性間質性肺炎を発症することは知られている。画像、臨床所見とも細菌性肺炎と類似し、病理組織で診断される。また、ステロイド治療反応性は良好といわれる。本例も画像所見とステロイドへの反応性から二次性間質性肺炎として矛盾はしなかった。反復性誤嚥性肺炎が病態に寄与した可能性があり、より早期に喉頭気管分離術を施行すべきであったと考える。重症心身障害児(者)で二次性間質性肺炎を発症したという報告は認められなかった。
結語
反復性誤嚥性肺炎は二次性間質性肺炎を合併することがあり、より早期に誤嚥性肺炎予防を行うべきである。