日本重症心身障害学会誌
Online ISSN : 2433-7307
Print ISSN : 1343-1439
一般演題
O-8-04 行動障害のある重症心身障害児の障害特性を考慮した関わり方の検討
佐々木 祐治
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2021 年 46 巻 2 号 p. 257

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抄録
はじめに 行動障害に共通して有効であると考えられる支援方法として、構造化を図ることで本人に了解しやすい環境整備を行う方法がある。今回の研究では、経管栄養前や支援学校の授業中に行動障害のある重症心身障害児A氏にとって理解しやすい方法で療養環境の構造化を行うことで、療養生活におけるストレスを軽減し、行動障害の軽減を図れるか検証を行ったため、ここに報告する。 方法 支援学校の授業というイベントを軸としたスケジュールの構造化を行い、看護師をはじめとする医療スタッフ・支援学校の教員のA氏への関わりを経時的に記録し行動障害の有無を調査した。 結果 看護師が経管栄養実施中に何らかの行動障害を認めた回数が11回/42回(26.19%)。そのうち支援学校に通学する平日が2回/26回(7.69%)、休日が9回/16回(56.25%)であった。行動障害の発生に関して午前・午後での差はなかった。また、授業中に経管栄養を催促する様子は3回/24回(12.5%)。すべて午前の授業中であった。経管栄養時間を構造化した際、授業中の経管栄養催促の頻度と行動障害の程度は、構造化前と比べて明らかに減少した。 考察 A氏が授業というイベントとタイミングを理解しており、これを基準として経管栄養で行うご飯の目途が立つことで戸惑いや混乱が減少していると考える。また、授業中はスケジュールボード上で何度でもご飯のタイミングが確認できるため、以前のような癇癪や授業の拒否といった激しい行動障害は起きなかったと考える。 結論 患者の経管栄養時の行動障害とスケジュールの構造化には関連があり、スケジュールの構造化により療養環境を整えた結果、患者の戸惑いやストレスを軽減でき、このことが行動障害の軽減に繋がった。
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© 2021 日本重症心身障害学会
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