日本重症心身障害学会誌
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O-8-06 レット症候群児(者)の保護者が捉える手の常同運動で困ること
平野 大輔後藤 純信勝二 博亮谷口 敬道
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2021 年 46 巻 2 号 p. 258

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抄録
目的 日常的にレット症候群児(者)と関わっている保護者の視点での手の常同運動による生活上の困難さについての実態を分析した報告は確認されない。本研究では、保護者の視点から、レット症候群児(者)における手の常同運動で困ることについて、明らかにすることを目的とした。  方法 対象は、日本レット症候群協会会員の131家族とレット症候群支援機構会員の63家族の計194家族とし、郵送による質問紙調査を2020年度に行った。  結果 72名のレット症候群児(者)の情報を収集することができた。年齢は12.8±10.5(平均値±標準偏差)歳、女性70名、男性2名、横地分類では主にA1〜A6に36名、B1〜B6に30名に属していた。診断年齢は3.3±3.6歳であり、55名は典型的レット症候群と診断されていた。methyl-CpG-binding protein 2(MECP2)遺伝子検索は59名に行われ、MECP2遺伝子変異としてはR168XとT158Mが7名ずつと最も多かった。有効回答70名中61名(87.1%)の保護者は、現在手の常同運動で困ることが有る、あるいは過去に困ることが有ったと回答し、70名中57名(81.4%)の保護者が困ることの具体的内容を挙げた。困ることの具体的内容としては、手や指、顎等の皮膚損傷や、関節拘縮や変形、筋の硬さ、歯並び、手を使うことの難しさ、食事や更衣、整容の介助の困難さ、周囲からの視線、衛生や感染症への心配等に関する内容が、複数の保護者から挙げられた。  考察 本結果から、レット症候群児(者)に対しては手の常同運動の状態に合わせた介入を行いながら、児(者)の保護者に対しては手の常同運動による生活上での困り事に対する介入の必要性が示された。
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© 2021 日本重症心身障害学会
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