日本重症心身障害学会誌
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Print ISSN : 1343-1439
一般演題
O-12-10 重症心身障害児(者)の入所にむけた家族の準備に関する検討
向井 早苗山崎 和深木 智与
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2021 年 46 巻 2 号 p. 273

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抄録
目的 重症心身障害児(者)の入所に向けた家族の準備について明らかにする。 方法 2015年1月から2020年3月までに入所した患者の家族7名を対象に、自記式アンケート調査をおこない、データから家族の準備の内容を抽出し意味内容を分析した。 結果 1.入所のための説明や見学が及ぼす家族の準備に対する動機付けは、【わが子への丁寧な対応と看護の工夫】【わが子を預けられる雰囲気のある環境】【家族の緊張による理解の不足】【入所手続きの難しさを感じる】であった。 2.わが子が入所するまでの家族の不安や希望は、【入所にともなうわが子への危惧を持つ】【わが子の安定した状態の継続を願う】【わが子との分離不安を感じる】【わが子との関係を継続する】【家族の好きな対応ができない葛藤がある】であった。 3.わが子が入所するまでの家族の取り組みは、【けいれん発作時の表情の変化を伝える】【わが子特有の体調のととのえ方を伝える】【わが子の興味・関心を守りたい】【危険がともないそうな癖や緊張を伝える】【体調を整える工夫をする】【日用品を新調する】【なじみのある音楽や声を用意する】【病棟の環境に合わせる】【入所の準備を継続する】【わが子と看護師との関係性を見守る】であった。 考察および結論 家族はわが子が生活する新たな環境を感じており、入所前の見学や説明は、家族へ安心感を与え、入所前の環境と比較することでイメージを膨らませ、準備を促進させている。入所によって環境の変化による影響を考慮し、その影響が少なくなるように希望している。また、家族の新しい形を形成していく必要性も認識している。そのため、家族の不安の軽減や家族関係の形成を促進していく支援が必要である。家族の準備における能力として、わが子の特徴を医療者と情報共有する行動がみられ、新たな環境の状況を認識し、その状況に合わせている。そして、入所後も情報共有は持続される。
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© 2021 日本重症心身障害学会
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