抄録
はじめに
重症心身障害児(者)(以下、重症児(者))への支援はその特性から生涯に渡って行われるため、ひとつの病院や施設で継続して行われることが多い。在宅での生活を望み家庭で過ごしている重症児(者)への関わりを通してリハビリテーションスタッフとしての支援の展開について考察する。
事例
1.点頭てんかんの33歳女性。10歳からリハビリテーション目的で当センター利用。支援学校卒業後は地域の身体障害者センター通所および短期入所、ホームヘルパー利用。
2.脳性麻痺の36歳男性。15歳からリハビリテーション目的で当センター利用。支援学校卒業後当センター通所および短期入所利用。家庭内の支援は受けていない。
いずれも在宅での生活を望まれ、入所することなく家庭での介護を続けている。しかし介護者の加齢に伴う介護困難の他、在宅生活が長くなる中で生活環境を広げられないなどの問題も出てきている。
リハビリテーションでの支援
ご家族の意思を尊重し在宅生活を続けられるための支援を共に検討するが、事例1ではご家族が施設入所を含めた社会資源の利用を意識できるようその意義を伝え、事例2では当センターでの短期入所経験を活かし在宅生活が維持できるための支援を行った。
考察
重症児(者)にとって年齢を重ねる中で施設入所は少なからず避けられない状況であると言えるが、例えばどのタイミングで入所を勧めていくのかなど、どのように在宅支援を展開していくべきなのか。より良い家族関係を継続しながらお互いにとって負担の少ない支援とはどうあるべきなのか。リハビリテーションスタッフは重症児(者)への関わりにおいてご家族とその支援について話合う機会も多い。リハビリテーションスタッフが重症児(者)に対する支援についての知識を持ち、その将来を予測すると共に一緒に暮らすご家族に対する支援を展開していくこともまた大切なことである。