抄録
はじめに
医療的ケアが必要な児が在宅医療を始めるにあたり、ケアに必要な衛生資材の支給を受ける。これまでは支給量に明確な基準がなく、高次医療機関と訪問診療医の間で差異が生じ、混乱の原因となる場合があった。また 病態や年齢により準備する資材が多種類となり、訪問診療医の負担になることも小児在宅医療をすすめる上で障壁となっていた。そこで我々は様々な病態の医療的ケア児に対して、過不足なく衛生資材を提供すること、提供する医療者側の負担が発生しないことを目的に検討を重ねてきた。まず、衛生資材の支給量の標準化のためには、医療的ケア方法の標準化が必要であると考え、その上で衛生資材について標準的な支給量を提案することとした。なお 今回提案する医療的ケア、および衛生資材の支給量はあくまでも標準的な目安であり、児の病態に応じて主治医が判断する。
方法
愛知県内のNICUを有する高次医療機関、小児在宅医療に関わる在宅療養支援診療所に対してアンケート調査を行い、現在指導している医療的ケアの方法、支給している衛生資材の支給量について質問した。続いて訪問看護ステーションに対して、現在支給されている資材についての過不足や問題点についての質問をした。次に小児在宅医療に経験のある委員からなるワーキンググループでエビデンスを集めて標準的なケア方法を作成し、それを元に診療報酬や様々な病態を考慮して衛生資材の標準的な支給量を提案することにした。
結果
医療的ケアの方法、衛生資材の消毒や保管方法に関して、NICUにおける指導内容に施設間で差が見られ、それが衛生資材の支給量に差異を生じる原因の一つとなっていると考えられた。標準的な医療的ケア方法、衛生資材の支給量について、今後愛知県内で広報活動を行っていく予定である