日本重症心身障害学会誌
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O-13-02 横浜市立特別支援学校における2年間の医療的ケア指導医の指導相談内容の検討
辻 恵井合 瑞江
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2021 年 46 巻 2 号 p. 276

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抄録
背景 2021年6月「医療的ケア児およびその家族に対する支援に関する法律」が成立し、教育現場においても医療的ケア児が適切な支援を受けられる様にするために必要な措置を講ずる責務が明確となった。特別支援学校において複雑かつ個別性の高い医療的ケアを安全に実施するため、現場を知る医療的ケア指導医(以下、指導医)の役割はより重要となっている。一方で指導医の業務内容は学校毎にそのニーズにより差があり、その具体的内容が学校外で共有される機会は少ない。今回、横浜市立A特別支援学校(小中高等部、生徒数59名、医療的ケア児38名)で実施された指導医の業務内容について検討した。 結果 2019-2020年度に3名の指導医が計14回の学校訪問を行った。業務は延べ62名の生徒に関する73件の医療相談、5回の医療的ケア校内検討委員会参加、2回の新入生回診であった。相談対象生徒は小学部25名、中学部22名、高等部15名、相談内容は14項目に分類され、呼吸問題対応が26件と最多、医療的ケア関連11件、呼吸以外の症状対応9件、原疾患の情報提供5件、てんかん発作対応5件と続いた。文部科学省の「学校における医療的ケアの実施に関する検討会議」で医療的ケア指導医の役割として挙げられている「医療的ケアの実施要領や個別マニュアル等の確認」「個々の実施に当たっての指導・助言」「巡回指導」「緊急時に係る指導・助言」は実施されていたが「主治医との連携」は実施できておらず、新型コロナウイルス流行のため「医療的ケアに関わる研修」は実施されなかった。 考察 日本小児神経学会による2015年の調査では、重度重複障害児医療に詳しい指導医が関与している自治体では大きな問題の発生が少ないことから、その配置の必要性を改めて指摘している。医療処置に制限がある学校現場で体調の相談が圧倒的に多い現状があり、今後は主治医と連携しながら具体的な助言・指導ができる体制を整える必要があると考えた。
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© 2021 日本重症心身障害学会
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