抄録
はじめに
大半が摂食嚥下障害を抱える重症心身障害児(者)(以下、重症児(者))施設所属の摂食・嚥下障害看護認定看護師(以下、CN)が担う役割は大きく、どのような役割を期待されているのか調査し、活動内容を検討した。
目的
重症児(者)施設でのチーム医療における摂食・嚥下障害看護CNの在り方を検討する。また、同様の立場にある看護職の今後の活動の一助とする。
方法
1.対象:90床規模の重症児(者)施設に所属する医療従事者のうち研究協力の得られた7職種118名、2.データ収集・分析方法:摂食・嚥下障害看護CNの概要について周知後、質問紙調査を行い記述統計より考察した。
結果
アンケート回収率:89%、「摂食嚥下障害の病態理解・アセスメント強化」、「摂食嚥下機能の評価」、「チーム医療でのリーダーシップ」、「摂食嚥下訓練の強化」、「摂食嚥下障害の増悪予防・リスク管理」、「摂食嚥下障害患者の倫理保持」、「在宅療養者との関わり」、「摂食嚥下リハビリテーションの推進」、「CNの存在が及ぼす医療従事者への心理的影響」、の9カテゴリーが抽出された。
考察
摂食嚥下障害ケアへの不安を抱えるスタッフは多く、教育システムの構築、摂食嚥下関連組織におけるリーダーシップがCNに求められている。CNが中心となり摂食嚥下障害への理解の促進・協力要請を発信し多角的な視点からのアプローチ、チーム医療の強化に繋げていく。
結論
重症児(者)施設でのチーム医療におけるCNの役割として、1.重症児(者)の摂食嚥下障害への理解促進、2.摂食嚥下評価・ケアへのスキルアップのためのアプローチ、3.二次合併症予防のためのリスク管理、4.組織・診療報酬算定におけるリーダーシップ、5.相談窓口、6.多職種や家族との連携・調整役、が示唆された。