日本重症心身障害学会誌
Online ISSN : 2433-7307
Print ISSN : 1343-1439
一般演題
O-1-③-2 効率と学習定着率の向上を目指した伝達方法の検討 第1報
−ペイフォワード式の伝達方法を実践して−
村野 佳州小林 梨恵子下柳 響子小西 美緒
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2022 年 47 巻 2 号 p. 264

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抄録
背景・目的 以前、病棟職員に対して、重症心身障害児(者)のケアに関する講習会を実施した。しかし、講習会には病棟職員全員は参加出来ず、全員が知識と技術を習得することはできなかった。本研究では、2つの方法で講習を実施した結果を比較して、伝達効率と学習定着について調査した結果を報告する。 対象者 A氏:重症新生児仮死後遺症、大島分類1、B氏:ライ症候群後遺症、大島分類1病棟内常勤 看護師14名・療育士14名。 方法 1.講習に使用するパンフレット等の作成。 2.講習(1):A氏に関しての知識と技術の講習を研究者3名で対象職員へ、講習者1名に対し受講者1名(以下、1対1)で実施。講習内容の習得を確認して受講修了。 3.講習(2):B氏に関しての知識と技術の講習を、研究者3名は対象職員各1名へ、1対1で実施。講習内容の習得を確認して受講修了。受講修了の職員は、未受講の職員1名以上に1対1の講習を実施。 4.受講修了1・3・6か月後に講習内容の習得を確認。 結果・考察 研究中のため、各講習開始から14日間の結果と考察を報告する。 講習(1):受講者15名 受講修了3名 講習時間:平均22.5分 講習実施時間112分/人 講習(2):受講者16名 受講修了9名 講習時間:平均22分 講習実施時間24分/人 (1)と(2)で受講者の人数に差がないことから、開始14日間での進度に有意な差はない。(1)では、受講修了者が講習者となるため、講習者の人員は伝達が進むほど増加する。そのため、28名の受講修了までの期間が短くなることが考えられる。(1)では、3名にて28名へ講習したことで、講習実施時間112分/人と多くの時間を要し、業務時間内に講習時間を設けることの負担が大きかった。(2)では、講習者は研究者を入れ8名まで増加しているため、講習実施時間24分/人と(1)より短くなり、講習者の負担軽減となった。 申告すべきCOIはない。
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© 2022 日本重症心身障害学会
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