日本重症心身障害学会誌
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O-1-③-1 医療型障害児入所施設で生活する障害児10名に対するF-wordsを用いたチームアプローチの事例報告
西島 和秀
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2022 年 47 巻 2 号 p. 263

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抄録
はじめに P. Rosenbaumは2011年に発表した論文の中で、ICFに基づいたF-words(Function、Family、Fitness、Fun、Friends、Future)という新しい概念をあげ、子どもの発達や家族、慢性的な生活状態に役立つための重要な要素となると述べている。当施設も生活に変化が少ない傾向にあり、さらに少数の児童(10名/118名中)は発達機会が少ないという問題があった。これらの問題に対し、F-wordsを用いてチームアプローチを行い、Fun、Friends、Familyに対して生活改善が見られためここに報告する。 方法 対象は医療型障害児入所施設で生活する10名(男性6名、女性4名)の障害児。平均年齢9歳1か月。多職種連携チームで各児童のF-words評価を行い、Fun、Friends、Familyに共通した課題が明らかになったため、共通ゴールを設定した。共通ゴールに対して小児活動を企画し計18回(6か月間)実施した。評価は Fun:新しく発見した楽しめる刺激や活動の数、Friends:他児との交流時間(対象児1名)、Family:参加回数、感想の聞き取りを実施した。 結果 Fun:新しく発見した楽しめる刺激や活動の数は66個(一人平均6.6個)。Friends:小児活動日は他児との交流時間は54分増加(小児活動無し日は0分)。Family:参加回数4回、「初めて兄妹と一緒に遊ぶ姿に感動した」「小児活動は家族の来園目的になる」等の感想。 考察 F-words評価を行い、共通目標をFun「楽しみを見つける」Friends「同世代児と関わる経験を得る」 Family 「家族との思い出をつくる」とし、チームアプローチを行った。その結果、小児活動の機会の中で、楽しみの発見、他児交流時間の増加、家族と一緒に遊ぶ機会が得られ、発達機会の増加につながったことが推測された。施設生活に変化を生じさせるためには、各専門職が共通の問題意識を持って動く必要があり、F-wordsは「子どもの生活に何が必要か」という問題意識の共有につながったと考える。
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© 2022 日本重症心身障害学会
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