日本重症心身障害学会誌
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O-2-⑥-1 北里大学病院小児在宅支援病棟における看護師特定行為研修修了者の活動報告
伊是名 若菜
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2022 年 47 巻 2 号 p. 305

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抄録
はじめに 北里大学病院小児在宅支援病棟は、在宅で療養生活をしている重症心身障害児の家族のレスパイトを目的としたショートステイ、および在宅移行支援を行っている。2019年3月より特定行為研修を修了した看護師(以下、特定看護師)が医師と協働し手順書に沿って気管カニューレ交換を実施している。当初は1名だったが、現在は3名の特定看護師がその役割を担っており、チーム医療の実践モデルを構築した。そこで活動報告をする。 活動内容 期間:2019年1月〜2022年7月31日 実施件数:266件(定期交換:258件、抜去時の対応:4件、緊急利用の対応:4件) 有害事象:0件 活動成果 医療者の都合ではなく、児の生活リズムに配慮したタイミングで気管カニューレ交換を実施することが定着した。また、特定行為実践により、児の成長発達、皮膚の状態、分泌物の性状、呼吸状態に合わせた気管カニューレの種類、サイズ、交換頻度を看護チームで検討し、医師に提案する事例が増えた。これまでは耳鼻科医師が主体で在宅移行前の家族への気管カニューレ交換指導を実施していたが、特定看護師が介入することで家族の技術習得の判断や家族の不安を早期にキャッチし、必要支援をチームにつなげることができた。実施件数1件に必要な時間数を前後の準備も入れて15分とし、時間換算をすると266件×15分=3990分(=66.5時間)だった。 活動の意義・今後の展望 定期気管カニューレ交換および事故抜去などの異常時の早期対応ができるだけでなく、在宅移行の細やかな支援により看護の質向上にとどまらず、地域包括システムの要として役割拡大が期待でき、継続看護につなげることができる。また、定期の気管カニューレ交換をタスク・シフティングしたことにより2024年の診療報酬改定を見据えたチーム医療作りに貢献できる。そして、看護師の特定行為への関心や理解が深まり、後進育成や看護水準の向上に寄与できると考える。 報告すべきCOIはない。
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© 2022 日本重症心身障害学会
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