日本重症心身障害学会誌
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一般演題
P-2-①-3 重症心身障がい児(者)の骨折対策を重点としたポジショニング・移送方法の見直し
坂本 幸繁
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2022 年 47 巻 2 号 p. 328

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抄録
はじめに A病院重症心身障害チームの重症心身障がい児(者)の骨密度をT-scoreで評価すると27%が骨量減少、37%が骨粗鬆に該当し、骨折の危険因子である四肢や体幹の変形・拘縮が顕著な者も多い。 早急に取り組むべき課題として、患者のポジショニングの検討・見直しを行った時期が不明であること、骨折予防を踏まえたポジショニングであるか不明であること、患者個別のポジショニングがチームスタッフに周知徹底されてないことが挙げられた。この状況の中、2021年度に4件の骨折を経験した。骨折予防対策が急務であり、当該チームの重症心身障がい児(者)全員を対象にポジショニングや移送の手技について見直しを行ったのでここに報告する。 結果 各患者の骨や関節の現状とポジショニングの疑問をシートに集約した。内容は、「骨密度の状態」「骨折の既往」「四肢の緊張の状態」「骨折予防の視点からの現在のポジショニング・移送の課題」「その他の視点からの現在のポジショニング・移送の課題」「その他疑問点」とした。また、人体図には骨折危険部位を斜線で示し部位名を明記した。集約した情報はチーム内で共有した。 集約された内容を元にリハビリテーション科職員と共働し、ポジショニング・移送方法の見直しを行った。その後、ポジショニングの写真に注意点を書き加え、ベッドサイドに掲示した。また、看護計画として追加した。 考察 疑問集約シートの記載内容は具体に言及した疑問が多く、看護師には「骨折させてしまうのではないか」という不安があったことが窺える。また、集約した疑問から患者の状況を踏まえた対策が立案でき、ベッドサイドにポジショニングの具体を示すことで看護師が援助を行う際に抱える「骨折させてしまうのではないか」という不安を軽減でき、安全に援助できたことが考えられる。リハビリテーション科と共働し手順を明確にしたことが、さらなる骨折事故の防止に繋がったと考える。
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© 2022 日本重症心身障害学会
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