日本重症心身障害学会誌
Online ISSN : 2433-7307
Print ISSN : 1343-1439
論策
人工呼吸器を使う超重症児SMAⅠ型児の在宅入浴習慣調査
−毎日の入浴を支えるものは何か、当事者研究の視点から−
大泉 江里雨宮 由紀枝
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2022 年 47 巻 3 号 p. 429-438

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抄録
本研究は介護当事者の視点から、人工呼吸器を使うSMAⅠ型児の在宅での入浴習慣の実態と課題を明らかにすることを目的に、保護者を対象に無記名自記式質問紙調査を実施した(回収率80%、有効回答率80%)。回答した44名のSMAⅠ型児の在宅での入浴習慣は、個別性が高く、成長とともに増していく困難を抱えながら行われていた。命と隣り合わせの難しさがあるにもかかわらず、週に3回以上入浴している家族が9割、毎日入浴している家族が5割いた。入浴習慣を単なる身の清潔ということ以上の多様な位置づけでとらえ、9割の保護者が入浴介助は大変だけれど頑張りたいと思っていた。家族以外で入浴ケアを手伝うのは訪問看護師が8割で最も多く、入浴ケアのアドバイスをするのも訪問看護師が7割強と突出して多かった。子どもと家族が希望する入浴習慣の実現・継続のためには、訪問看護師がキーパーソンとなる。当事者家族やサポートする専門職の工夫を情報共有すること、家族と専門職との連携促進、訪問入浴サービスなどの社会資源の充実が急務である。
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© 2022 日本重症心身障害学会
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