日本医真菌学会総会プログラム・抄録集
Print ISSN : 0916-4804
第49回 日本医真菌学会総会
セッションID: P-123
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イヌ由来 Prototheca 属菌の一菌株について
*辻 寛子平井 明香加納 塁長谷川 篤彦
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キーワード: プロトテカ, イヌ
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抄録
現在、Prototheca 属には P. zopfiiP. wickerhamiiP. stagnoraP. noriformisP. ulemea の 5 菌種が報告されており、これらのうちP. zopfii および P. wickerhamii は、ヒトや動物のプロトテコーシスの原因菌と考えられている。動物における本症は極めて稀な疾患とされているが、近年増加傾向にあり注目されている。今回、真菌の感染が疑われるイヌから分離した株について検討した結果、形態学的および生化学的所見から、Prototheca 属菌と同定した。次に ribosomal DNA の D1/D2 領域を解析し、DDBJ に登録されている他の Prototheca 属菌と比較、検討した。 症例は、マルチーズ、4 歳齢、避妊雌で、約一年前から、腹部膨満、発熱、跛行がみられ、次第に体重は減少し、鼻鏡部の糜爛、全身リンパ節の腫大、脾腫が認められた。試験的開腹により脾臓および肝臓に白色結節病変がび慢性に認められ、病理組織学検査にて、PAS 陽性真菌様細胞が確認された。サブローブドウ糖寒天培地による培養では、乳白色~灰黄色のコロニーが認められた。顕微鏡所見では大小さまざまな(直径約 4~13 μm)球形を呈し、桑実状の内生胞子を多数含む胞子嚢が認められた。生化学的性状では Ethanol、Fructose、Galactose、Glucose、Glycerol、Trehalose の分解、Clotrimazole の感受性試験では 37℃ 培養で阻止円形成が確認された。以上のことから本分離株は P. wickerhamii と考えられた。引き続き病巣部および分離株より抽出した DNA を用いて ribosomal DNA 遺伝子を解析し、系統樹を作成した。その結果、DDBJ に登録されている P. wickerhamii とは異なり、他の Prototheca 属菌種と同一クラスターに属することが明らかになった。しかし、各菌種との相同性は 62~66% と低い値であった。
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© 2005 日本医真菌学会
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