抄録
【はじめに】肺アスペルギルス症の外科治療では,手術術式の選択,周術期の管理などで苦慮することも多い.当院にて外科治療を施行した肺アスペルギルス症例について検討し報告する.
【対象】1993 年から 2005 年 6 月まで当院にて外科治療を施行した肺アスペルギルス症 30 例を対象として肺基礎疾患,合併症,術式などを検討した.
【結果】男性 26 例,女性 4 例.平均年齢 58.8 歳.症状は喀血 16,血痰 4,発熱 4,咳嗽 2 例であった.全身的な合併症としては糖尿病 7 例アルコール肝炎 2 例,そのほか結核性アジソン病,甲状腺機能低下症などであった.肺の基礎病変としては結核性空洞 18 例,他の嚢胞性変化 6 例,肺膿瘍 2 例,不明 3 例であった.病型は単純型(simple type)7 例,複雑型(complex type)23 例であった.初回外科治療の内容として,肺全摘,肺葉切除,区域切除などの肺切除を行った症例が 25 例,これ以外の空洞形成,筋弁充填などがおこなわれたものが 5 例であった.肺切除を施行した 25 例では 21 例が,空洞形成などを行った 5 例では 4 例が成功,退院できたが,それ以外の 5 例は在院死した.
【まとめ】肺切除は根治性が高い治療法と思われるものの,合併症を併発した場合は致命的となることもあり,適応決定には慎重でなければならない.