日本医真菌学会総会プログラム・抄録集
Print ISSN : 0916-4804
第49回 日本医真菌学会総会
セッションID: SI-2
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難治性の深在性真菌症に対する最近のアプローチ—糸状菌感染を中心に
ミニ移植後の深在性真菌感染症
*上 昌広
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抄録
造血幹細胞移植は技術改良が進み、治療関連合併症が減少したため、多くの造血器腫瘍に対する標準的治療の一つとなっている。しかし、移植片対宿主病(GVHD)・前処置毒性・感染症などの治療関連合併症が問題となり、その適応は少数の若年患者に限られてきた。1998 年、イスラエルのグループはフルダラビンなどのプリン誘導体を前処置に用いれば、治療関連毒性を大幅に軽減できることを示した。骨髄抑制期間が減少し、口内炎などの粘膜障害の頻度が低下したため、患者は移植中も経口摂取が継続できるようになり、移植に要する入院期間は減少した。この移植はミニ移植を称され、50歳以上の高齢患者や臓器障害を有する患者も移植の対象と考えられるようになった。また、悪性リンパ腫や転移性腎細胞がんなどの一部の固形がんにも有用性が示され、ミニ移植の症例数は急速に増加した。このように、ミニ移植は造血器疾患の治療に大きな福音をもたらしたが、克服すべき問題点も多い。特に真菌感染は大きな課題である。ミニ移植開発当初は好中球減少期間が短いため、そのリスクは減少すると予想された。しかし、最近の研究で、ミニ移植後でも真菌感染の頻度は低下しないこと、従来型移植とミニ移植ではその臨床像が異なることが明らかになった。このため、ミニ移植後の真菌感染対策には独自の工夫が必要と考えられるようになった。特に、ミニ移植後の真菌症は発症時期が遅れ、多くが外来で診断されることには留意が必要である。ミニ移植での真菌感染対策では、無菌管理などの入院施設を用いる方法は意味をなさず、抗真菌剤の予防投与に関心が集まっている。現在、新規抗真菌剤の開発が進行し、近年中に臨床医が使用できる抗真菌剤の種類は大きく拡大する。ミニ移植での真菌感染対策は、このような薬剤の特性を活かし再構築されるであろう。例えば、外来で使用できるように予防薬は経口の剤型を持つことが必須である。この点でキャンディンは問題がある。また、アスペルギルスが真菌感染の主因を占めるため、アスペルギルスに感受性を有することが求められる。この意味でフルコナゾールは第一選択から外れる可能性が高い。抗真菌剤の長期連用は耐性を誘導する危険性があり、その使用は最小限に留めるべきであることは言うまでもない。ボリコナゾール予防投与患者に接合菌感染が増加するなど、既に一部で問題になりつつある。この問題を解決するには、至適予防投与量、期間の検討が必要であるが、これらについては、世界でも殆ど検討されてこなかったのが実情である。更に、薬剤相互作用の検証も重要である。年齢的要因、民族学的要因を検証していく必要があろう。薬剤相互作用の強いアゾール系製剤の問題点である。このように抗真菌剤の予防投与に関しては、克服すべき多くの問題点がある。問題点を明確に捉えた、簡潔な臨床研究が必要である。
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© 2005 日本医真菌学会
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