抄録
2004 年,de Hoog 等が ITS 領域の系統解析で Fonsecaea 属を F. pedrosoi と新規提唱の F. monophora に分け,伝統的な分類における F. pedrosoi と F. compacta とは一致しないと報告した.そこで,当センター保存の臨床および食品由来の Fonsecaea 属に含まれる菌株について ITS 領域の塩基配列を決定し,既存のデータと合わせ系統解析を実施した.その結果,2 つの主要なグループに分かれ,日本産の分離菌は F. monophora と同じグループに類別された.このグループは,F. pedrosoi,F. compacta の代表株とは系統的にはっきりした違いを示し,de Hoog 等の“ B タイプ”,Tanabe 等の ITS-RFLP 解析による“タイプ 2 ”にほぼ一致した.さらにこのグループは 2 つのサブグループに分かれ,その 1 つに日本産の菌株がすべて含まれ,もう一方のグループに南米由来の株が含まれていた.この結果は,日本産の F. pedrosoi が de Hoog らが示した F. monophora であることを示唆している.しかし,ITS 領域のみの結果から断定することは控えて,さらに複数の遺伝子解析の実施結果から判断したいと考える.