抄録
昨年、Candida albicans につづき C. glabrata においても全ゲノム配列が解読された。C. albicans が通常おもに二倍体として増殖するのに対し C. glabrata は一倍体として増殖するため、C. albicans に比べ遺伝解析が容易である。また、C. glabrata においては、Tetracycline による応答性遺伝子発現制御系 (TET システム) が中山ら (Microbiol., 1998) によって確立され、必須遺伝子を解析する上でとくに有利である。われわれはこうした事実に基づき、本菌を Tool としてその温度感受性変異株(以下、TS 変異株)を用いて抗真菌剤の有力な標的候補と考えられる必須遺伝子群を効率的分離することを試みた。これまでに得られた高温(発育制限温度)でのコロニー形成能を失った多数の TS 変異株を宿主として C. glabrata Genomic DNA Libraly から各変異に対する相補性遺伝子を分離、 TET システムによりそれらの必須性が立証されれば、抗真菌剤の有力な標的候補になることが期待される。
非会員共同研究者:小山友嗣、吉沢絵里香、ファディラ ハヤティ (山梨大・生命工学)