抄録
Cryptococcus (C.) neoformans の銅耐性遺伝子のスクリーニングを行った。その結果,新規 hexose transporter (Hxt1)を見出し,その構造を明らかにし,また種々の変異株を作製することにより機能解析を行ったので報告する。Hxt1 は 520 のアミノ酸残基からなる新規タンパク質で,2 個の糖輸送モチーフの存在,また 10 個の膜貫通型ドメインの存在が示唆された。本タンパク質は C 末端近傍に銅結合 domain を有するが,銅耐性の重要な要因ではない結果が得られた。Hxt1 の生育速度への影響は認められなかった。C. noeformans の野生株,破壊株 (hxt1) さらに復帰株を用い,病原因子生成への関与,病原性についても検討した。C. neoformans の重要な病原因子とされる melanin 生成への影響は殆ど認められなかった。Phenoloxidase 活性は破壊株で 12% の減少が認められた。一方,capsule 形成では,破壊株に,野生株より厚い capsule 形成が見られ,Hxt1 が capsule 形成に関与することが示唆された。また線虫 Caenorhabditis elegans を用い,その寿命を指標とした病原性の比較では,野生株など上記 3 株の間に相違は認められず,Hxt1 の病原性への関与は無いことが示唆された。