抄録
マウス口腔カンジタ症モデルを用いて,Candida albicans 感染初期における舌表面への菌侵入過程を形態学的に解析した。
ICR マウスに感染前日に抗炎症ステロイド剤プレドニゾロン,抗生物質テトラサイクリンを投与し,マウス舌表面に酵母形発育した Candida albicans (TIMM 2640) を綿棒で接種した。なお,菌接種時には精神安定剤クロルプロマジン投与をおこなった。対照群,接種 1,3,6 時間群の舌及び舌洗浄液中の Candida 生菌数を調べ,さらに舌菌接種部位を走査型電子顕微鏡 (SEM) によって観察した。
Candida 生菌数は,舌破砕液において,接種 1 時間後よりも 3 時間後で増加傾向を示すが,6 時間後では更なる増加は認められなかった。洗浄液では,接種 1 時間後で最も高値を示し,6 時間後で最も低値をとなった。SEM 観察において,対照群および接種群共に,舌表面に分布する舌乳頭の一部もしくは全体が粘液様物質に覆われ,菌接種群では Candida の粘膜層および舌乳頭への付着を確認した。さらに菌糸を伸ばしはじめる像が接種 1 時間後で,そして菌糸形の Candida が 6 時間後に観察された。
以上より,Candida は接種後約 6 時間以内に粘液層および糸状乳頭へ侵入し始めることが推測される。