抄録
【目的】当教室では,真菌症患者の血中に遊離する可溶性多糖画分と同一の物質を得る目的で,Candida を完全合成培地で培養し,培養上清より CAWS (Candida albicans water soluble fraction) を得た.CAWS は mannoprotein と β-glucan の複合体であり,Limulus factor G 活性化能を有していた.さらに,CAWS はマウスに対して致死毒性と血管炎誘発活性を有していた.そこで CAWS における致死毒性の発現メカニズムについて解析を行った.
【結果と考察】CAWS を種々の系統のマウスに静脈内投与したところ,致死毒性の感受性はマウスの系統によって大きく異なっていた.肥満細胞欠損マウスである WBB6F1-w/wv マウスも CAWS 投与により致死が認められた.一方,CAWS の致死毒性は epinephrine の投与により抑制され,CAWS による血管透過性の亢進作用も抑制された.また,H1,H2 receptor 拮抗薬,PAF receptor 拮抗薬,セロトニン拮抗薬の併用投与により,CAWS の致死毒性は強く抑制されたが,単剤投与では一部しか抑制されなかった.これらのことから,CAWS の投与によってマウスはアナフィラキシー様のショックにより致死にいたるが,その致死毒性は複数の因子により発現している可能性が考えられた.