日本医真菌学会総会プログラム・抄録集
Print ISSN : 0916-4804
第50回 日本医真菌学会総会
セッションID: P22
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加圧凍結法による分裂酵母の隔壁形成に伴う細胞構造変化の解析
*許斐 麻美大隅 正子
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抄録
加圧凍結法は、細胞骨格を含むあらゆる細胞内構造や瞬時に変化する生体現象を保持した凍結固定試料を、従来の急速凍結法より多量に、再現性よく得る事ができ、種々の凍結技法を用いた微細構造解析の利用を容易にした。我々はクライオシステムAlto2500(Oxford)を用いた「加圧凍結・極低温低加速電圧走査電子顕微鏡法」を開発し、凍結固定試料を割断・蒸着し、細胞割断像や細胞膜破断像を簡便に得られようにした。また置換固定を行った後に、乾燥・蒸着して、走査電子顕微鏡により観察する方法も確立した。さらに、細胞構造の明瞭な観察と物質の局在解析を同一の切片上で行う事ができる免疫電子顕微鏡法を開発し、生体膜における膜内タンパク質粒子の挙動を解析できるフリーズフラクチャー・レプリカ・ラべリング法を導入して、物質の局在解析の正確な遂行を可能にした。これらの方法によって、我々は分裂酵母の隔壁形成の過程の三次元的な把握し、細胞膜の破断像からは隔壁形成部位の細胞膜構造を明らかにした。さらに細胞膜における細胞壁合成酵素の挙動を解析し、細胞膜の特に酵母に特有な陥入が細胞壁合成が活発な部位から排除される事実が判明した。また隔壁形成の開始に伴う合成酵素の挙動とそれに関わる細胞内構造の変化を捉えた。真菌の構造に関する新たな知見を得られる可能性を大いに期待出来る加圧凍結法の応用例と合わせて報告する。
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© 2006 日本医真菌学会
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