日本医真菌学会総会プログラム・抄録集
Print ISSN : 0916-4804
第50回 日本医真菌学会総会
セッションID: P39
会議情報

ポスター(括弧内番号はセレクテッド・シンポジウム発表を示す)
嚢腫様病変を示したFusarium solani感染症の1例
*藤田 純渡邉 晴二河崎 昌子田邉 洋望月 隆
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録
患者:60歳女性。初診:平成17年8月。主訴:左肘の皮下腫瘤。現病歴:生来健康であった。10年以上前より左肘に皮下腫瘤を認め、近医内科にて治療を受けていたが不変。その後放置していた所、徐々に増大した。H17年頃より疼痛が出現したため、同年6月下旬に石川県立中央病院整形外科を受診。腫瘤部より穿刺吸引して得られた内容液の培養で真菌が分離されたため当院紹介。初診時現症:左肘頭部に50×50×25mm大、弾性硬で下床と可動性、中央部に波動を伴う淡紅色のドーム状に隆起した皮下腫瘤を認めた。圧痛はなかった。画像所見:左肘頭部のX-P像で境界不明瞭な皮下腫瘤あり。MRIで肘頭部の皮下脂肪織に径40mmの腫瘤を認めた。壁は不均一で厚く、関節面との交通は認めなかった。組織所見:切除標本の腫瘤内の内腔にHEで透明、PAS染色陽性の菌糸状菌要素が認められた。菌学的所見:切除組織の一部をサブロー培地で培養したところ、発育の速い灰白色絨毛状のコロニーが得られた。スライドカルチャーでは、2∼5隔壁を有する表面平滑、三日月形のカーブした大分生子が多数認められた。以上よりFusarium sp.の菌と同定した。更にrRNA遺伝子のITS領域の塩基配列を決定し相同性検索を行いF. solaniと同定した。整形外科での分離菌もともにF. solaniと同定した。治療:嚢腫全摘出を施行した。その後再発は認めていない。
著者関連情報
© 2006 日本医真菌学会
前の記事 次の記事
feedback
Top