日本医真菌学会総会プログラム・抄録集
Print ISSN : 0916-4804
第51回 日本医真菌学会総会
セッションID: P23
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II. 分類と同定
中国乾燥地帯における Aspergillus fumigatus Neosartorya の分布と系統解析
*矢口 貴志松澤 哲宏田中 玲子Paride AblizYan Hui堀江 義一
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抄録
Aspergillus fumigatus やその近縁菌である Neosartorya はヒトのアスペルギルス症をはじめとする真菌症の原因菌として報告されている。これら菌類の主たる生活場所は土壌中で、これまでの調査から湿潤な地域の土壌により高い頻度で分布する事が知られているが、乾燥地帯土壌にも多数分布している。これら菌類の分布を把握する事はヒトの真菌症予防の上で重要である。今回は乾燥地帯の分布調査として中国新疆ウイグル自治区を選び土壌中の分布と分離した菌の系統を研究した。その過程で未報告種を認めたので併せて報告する。方法:新疆ウイグル自治区の 31 地域の土壌からツアペック寒天培地を用いて A. fumigatusNeosartorya を分離し集落数を計数した。分離菌を既知種と供に β - チュブリン、ハイドロフォビン、カルモジュリン遺伝子などを用いて分子系統解析をおこない比較検討した。結果:新疆各地の砂漠や乾燥地帯の土壌から A. fumigatusNeosartorya は多数出現した。A. fumigatus は供試土壌 2449 試料中の 37 %、Neosartorya は 7 %の土壌から出現した。NeosartoryaN. fischeri, N. globra, N. pseudofischeri, N. quadricincta, N. spinosa と新種である N. tunodae などであった。また、尉梨県と墨玉県のタクラマカン砂漠の土壌から分離した 2 種の Neosartorya が既知種とは異なる系統を示し形態も異なった。
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© 2007 日本医真菌学会
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