抄録
病原性酵母C. neoformansは細胞壁周囲に主要な病原因子である莢膜を持つ。莢膜を持たない変異株の病原性は低く、また莢膜産生に関与する遺伝子が報告されている。本菌は継代培養中にコロニー形態などの表現形が変化することがあることも知られている。我々は、薄い莢膜を持つ光沢のないコロニーを形成する株を継代培養中に、光沢の強いコロニーが出現することを見出し、これらは厚い莢膜を持つことを確認した。本研究では莢膜の厚さが本菌の性状や病原性に与える影響について検討を行った。3株の親株から、光沢の強いコロニーを単コロニー分離したところ、いずれも厚莢膜株であった。これらの倍数化時間、メラニン合成能、薬剤感受性を調べた。また、このうちの2株についてマウス接種試験による病原性の比較を行った。倍数化時間は厚莢膜株の方が親株に比べ、長い傾向が認められた。またマウス接種試験では、接種菌数が少ない場合に、厚莢膜株の病原性に低下が認められた。感染したマウス脳より回収したC. neoformansを顕微鏡で観察したところ、厚莢膜株を接種したマウスには、巨大化し、異常に大きな液胞を持つ菌が多数存在した。厚莢膜株は生体内で増殖に時間を要する事、また光顕観察結果から細胞そのものが脆弱になっている事が考えられた。また、さらに今回は光沢の強いコロニーを作る株から、光沢の少ないコロニーを分離し、各性状、病原性について検討を加えたので報告する。