日本医真菌学会総会プログラム・抄録集
Print ISSN : 0916-4804
第52回 日本医真菌学会総会・学術集会
セッションID: P-105(SIII-01)
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Cryptococcus neoformansの環境適応に関与する二成分シグナル伝達系の解析
*清水 公徳李 皓曼吉見 啓田中 千尋阿部 敬悦渡辺 哲亀井 克彦山口 正視川本 進
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抄録
ハイブリッド型ヒスチジンキナーゼ(HHK) や応答レギュレータータンパク質 (RR) は二成分シグナル伝達系の構成タンパク質であり、薬剤耐性、浸透圧感受性、病原性、菌糸生育などを制御していることが知られている。病原性酵母Cryptococcus neoformansはゲノム中に7個のHHK遺伝子、2個のRR遺伝子をもつ。HHK遺伝子の一つCnNIK1遺伝子はフェニルピロール系抗真菌物質フルジオキソニルに対する感受性を制御している。今回、CnHHK2CnHHK3CnHHK5CnHHK6CnHHK7(以上HHK遺伝子)、CnSKN7CnSSK1(以上RR遺伝子)の機能を調べるため遺伝子破壊を行ったところ、CnHHK4を除く全ての遺伝子破壊株を得ることができた。HHK遺伝子破壊株のうち、CnHHK2CnHHK5CnHHK6CnHHK7 遺伝子破壊株は明確な表現型を示さなかったが、CnHHK3遺伝子破壊株は高温および高浸透圧条件下において生育遅延が認められ、本遺伝子は温度や浸透圧適応に重要な役割を果たしていることが示唆された。RR遺伝子に関しては、CnSKN7CnSSK1遺伝子破壊株はいずれも高温、高浸透圧に対して感受性を示し、また、フルジオキソニルに対して耐性であった。C. neoformansにおいては、温度、浸透圧、フェニルピロール系薬剤に対して、CnNIK1CnHHK3およびCnSKN7CnSSK1が協調的に応答していることが示唆された。
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© 2008 日本医真菌学会
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