抄録
真菌症の起因菌は、土壌などの自然界に生息しているため、その感染を阻止することは困難であり、感染の早期の検出が最重要である。また、手術室、病室等での真菌の生育は目視により認知しうるが、そのような状態ではもはや大量の胞子を形成しており、その汚染の拡大をくい止めることは非常に困難となる。 カビをはじめとする微生物は、それぞれの種類に特有な揮発性有機化合物(Microbial Volatile Organic Compounds; MVOCs)を分泌することが知られている。二次代謝産物であるMVOCsはカビを目視できない段階から放出されており、早期にカビの発生を検出するための標識となりうる。また、MVOCsには種や属による特異性も知られており、感染症を引き起こす菌種の検出も可能となる。 本研究ではアスペルギルス症の起因菌の1つであるAspergillus fumigatus(A. fumigatus)のKuboyama株(IFM40822)と古墳土壌由来株の発散するMVOScを固相マイクロ抽出-ガスクロマトグラフィー質量分析法を用いて検出し、A. fumigatusのMVOCsとして、ビラジン化合物とセスキテルペノイドを確認した。MVOCsを微量濃度の段階で検出する方法に基づけば、真菌症診断、病院内での衛生管理等への応用可能性が期待される。(会員外共同研究者:竹内孝江、長谷川美穂、金子幸代/奈良女子大学、木内正人/産総研)