2019 年 65 巻 6 号 p. 181-185
鼻中隔膿瘍は近年ではまれな疾患となった。しかしながら診断が遅れると鞍鼻等の後遺症や鼻性頭蓋内合併症を惹起する可能性がある。今回初診時に鼻中隔膿瘍を想起できず、切開・排膿が遅れた症例を経験したので報告する。症例は 49 歳、女性。夫の手が顔面に当たり、鼻出血を認めた。徐々に鼻痛・咽頭痛が増悪し頭痛も発症したため紹介医を受診した。強い頭痛のため頭蓋内合併症の可能性も否定できず当科を紹介受診となった。 鼻中隔の腫脹のため両鼻腔が狭小化していた。頭痛が強いことより鼻腔内蜂窩織炎から髄膜炎等を発症した可能性を想定して入院の上、髄液検査を施行したが頭蓋内合併症は否定的であった。副鼻腔 CT を見直した結果、鼻中隔膿瘍の可能性がありドレナージが必要と判断したが、髄液検査後であったため安静が必要であり、結果的に穿刺・切開排膿が翌日になった。切開・排膿後は比較的順調に局所所見および検査所見ともに経時的に改善した。