日本医真菌学会総会プログラム・抄録集
Print ISSN : 0916-4804
第52回 日本医真菌学会総会・学術集会
セッションID: P-015
会議情報

内臓真菌症
ファンギフローラYキットで染色後12年を経た組織中真菌要素観察
*木村 雅友
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録
【目的】ファンギフローラY(アルフレッサファーマ)は擦過物の塗沫標本や組織中の真菌要素を検出するために開発された蛍光染色液キットである。そのなかのB液はスチルベンジルスルホン酸系蛍光染料で真菌細胞壁のβグルカンやキチンなどに親和性が高く,そのため蛍光顕微鏡で真菌を検出することが可能となる。しかし,染色後長期間保管した場合でも観察に耐えうる蛍光強度が残っているかどうかは検討されていない。そこで12年前に染色した標本をもう一度蛍光顕微鏡で観察し検討した。【材料と方法】12年前にファンギフローラYキットで染色し蛍光顕微鏡で観察し,その後室温暗箱に保管していた各種真菌症の組織標本(カンジダ;22例,アスペルギルス;7例,クリプトコックス;3例,ムーコル;5例,トリコスポロン;4例)を材料とした。これらの組織標本を蛍光顕微鏡(Nikon Eclipse E800 equipped with filter module UV-1A; excitation,365nm; dichroic filter,400nm; barrier filter, 400nm with mercury lamp for illumination)で観察した。【成績】12年前の観察と同様に蛍光し,組織中の真菌要素を容易に検出できた。なお,ムーコルについては12年前と同様ほとんど蛍光を示さなかった。【結論】ファンギフローラYキットで染色した組織標本は長期間室温で保管しても蛍光強度が減弱せず,長期間後の真菌の見直しに関しても役立つことがわかった。
著者関連情報
© 2008 日本医真菌学会
前の記事 次の記事
feedback
Top