日本医真菌学会総会プログラム・抄録集
Print ISSN : 0916-4804
第52回 日本医真菌学会総会・学術集会
セッションID: P-024
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分類と同定
神奈川県の温泉河川水から分離された Ochroconis 属の新種
*西村 和子佐野 文子鎗田 響子
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抄録
我々は 2007 年に温泉水の濾過物をから人獣共通病原性黒色真菌 Ochroconis gallopava を分離し,それらの実験動物への病原性と共に報告した(Yarita K et al. Mycopathologia 164: 135-147, 2007).今回は,同時に分離された Ochroconis 属の新種と思われる菌株について報告する.神奈川県のある温泉地帯で温水が流れる河川水(屋外, 41-42℃,弱酸性)から O. gallopava に類するが, 42℃で分離時にオリーブ緑で綿毛状集落を示した2菌株,IFM 54738, 54739 を分離した.IFM 54738 においては,分生子柄は短く,直生か屈曲,濃褐色,先端よりシンポジアルに 4,5 個まで分生子を生じ,小歯はやや長く枯れていた.分生子は,2 細胞性,淡褐色から褐色,棍棒形から円筒形,平滑,10.3~18.0 (av.13.2) x 2.2~4.5 (av.3.6) μm,隔壁部はくびれない方が多く,基端の臍はやや目立った.最高生育温度は 44℃.分生子の形態,最高生育温度は明らかに O. gallopava とは異なった.2 株とも rRNA DNA の ITS, D1/D2 領域の配列は同一で,O. gallopava との一致率はそれぞれ 84,96%で,別種である事を示していた.マウスに静脈内接種した結果,致死性はなく,腎のみに病巣が生じる点も O. gallopava と異なっていた.以上より,本菌株は Ochroconis 属の新種と思われ,日和見真菌の候補菌種として,今後注意が必要である.
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© 2008 日本医真菌学会
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